シッフの「量子力学」(上)のピンポン玉の問題

シッフの「量子力学」(上)の第1章の問題の中に、以下のような問題があります。

真空中で完全に弾性的なピンポン玉が固定された同半径の完全に弾性的な球に対し、半径の10倍の高さから落したとする。
地球の運動の効果を無視し、かつピンポン玉が最適の条件ではなされるものとして、この玉が固定球に対してその上で行ないうると期待されるはずみの最大回数を算定せよ。

この問題をMuJoCoでシミュレーションしてみました。

この問題は不確定性原理に関する問題なのですが、MuJoCoには不確定性原理は実装されていないので、いつまでも上の球が弾み続けます。
位置を計算するときの誤差によって少しずつずれるかもしれないと思ったのですが、まったくずれないみたいですね。

初期の位置を少しずらすとどうなるかやってみます。MuJoCo において、計算時に分母に許される最小の値として、 mjMINVAL が定義されています。その値が 1e-15 だったので、 上の球の初期の位置を 1e-15 だけ、右にずらしてみました。

9回弾みました。不確定性原理を考慮しない場合、何回弾むかは計算で求められると思いますが、計算は識者におまかせします (笑)。
ずらす量を 1e-17 に減らすと、弾む回数が 10回に増えました。
さらに、ずらす量を 1e-18 まで減らすと、最初のずれがない場合と同じく、いつまでも弾み続けました。
このあたりですれの量が切り捨てられていそうです。

参考文献